デートの会話を盛り上げようと努力し、つまらないと撃沈された男子の物語

『しょうもない人を引き当ててしまったわ・・・!』ネット婚活中のA子がくたびれていた。

待ち合わせ場所に現れた彼は、特におかしな様子はないアラサー男子。

ところが、異変はすぐに現れた。開始早々、元カノの話が止まらないのだ。

3代前の彼女まで遡り、馴れ初めから別れのあれこれを語る。セックスレスになり自分からフッたといういらんエピソードまで、1時間にも及んだ。

この間、A子は合いの手を入れる暇もない。脳内では危険警報が鳴っているが、帰るに帰れないマシンガントークだ。

ようやく息を整えた彼が次に選んだのは、A子をひたすら褒め称える話題である。

どこぞのイルミネーションの話をしても、『A子ちゃんの方がキレイだよ!』

どこぞの食べ物の話をしても、『A子ちゃんの料理の方が美味しいよ!食べたいな!』

ドヤ顏とともに、指を打ち鳴らしたのだ。指パッチンとでも言うのか、アレである。

非常に訓練されており、クリアで大きな音が店内に響いた。

その後も、褒める+ドヤ顏+指パッチンの3コンボを次々と打ち込んでくる彼。

否定も肯定もせずに愛想笑いで応戦してみたA子。それが照れていると勘違いされたようで、さらに褒めがヒートアップ。

『恥ずかしがらなくていいんだよ!?』

違ーーーう!!お前に怯えているだけだ。どうにかこうにか会話を終わらせ、次のデートも適当に濁して脱出。

駅まで送ると聞かないので、仕方なく改札まで送ってもらうことに・・・。

やれやれ、ようやくこれで解散することができる。

振り返ってみると、アンニュイな表情を作り体をナナメにして柵にもたれた彼が見える。

A子と目が合った瞬間、指を鳴らしてウィンクしたのだ。

さらに指を鉄砲の形に仕立てて、弾を撃ち込んできた。ズキュンなポーズである。

最後の最後までブレない・・・!

彼の半生の中ではどこかの誰かには有効なテクニックであったのだろう。

1人に効き目があったからと言って、同じ手を永遠に使い続けてはならない。

相手も時代も己の容姿も変わっていくのだ。古い手は随時アップデートが必要なのである・・・。

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